医療機関・検査施設の方へ

Q&A

新生児マススクリーニングについて

Q

新生児マス・スクリーニングって何ですか?

A

先天性の病気のなかには、生後早い時期に採血を行うことで診断できるものがあります。新生児のうちに早期発見しておくと、早期治療により知能の遅れなどを防止できたり、重い症状が出ないように注意して日常生活を送ることができます。このような取り組みが「新生児マス・スクリーニング」 ( 先天性代謝異常症等検査) で、世界各国で行われています。日本では1977 年に、 はじめは5つの疾患を対象と して始まりました。

新生児マス・スクリーニングで発見される病気は、ホルモンに異常のある病気と、栄養素を利用する過程に何らかの問題がある病気とに大きく分けられます。このうち後者を総称して「先天代謝異常症」とよびます。

「マス」とは「集団」、「スクリーニング」は「検査」という意味です。「新生児マス・スクリーニング」は日本に生まれてきた赤ちゃん全員が受ける事が出来る検査で、社会から赤ちゃんへのプレゼントといえます。

他にも先天代謝異常等検査、先天代謝異常症検査等、新生児スクリーニングなど、いろいろな呼称が使われることがあります。

Q

新生児マス・スクリーニングは、どのように検査するのでしょうか?

A

生後5日前後で数滴の血液をろ紙に染みこませ、検査センターに郵送します。ろ紙の中に含まれる微量の成分を測ることで、病気の可能性がないかを調べます。

Q

検査を受けるメリットとデメリットを教えてください。

A

症状が現れる前に病気がわかることで、早期に対処でき、起こり得る障がいを予防できる可能性が高まります。また、対象が先天的な病気であるため、家系内に同じ病気の患者さんがみつかる事もあります。この場合、希望に応じて専門医による遺伝カウンセリングを受け、ご家族の疑問や不安について相談することができます。検査自体のデメリットはわずかな血液を採取する事です。

Q

新生児マス・スクリーニングは受けなければならないのですか?

A

新生児マス・スクリーニングは、「子どもの成育段階で起こり得る障がい発生の予防事業」と位置づけられた、公的事業です。検査は強制ではなく任意ですが、医療機関側がご両親に同意を頂いて、現在は日本で生まれるほぼ100%の赤ちゃんが現在この検査を受けています。

検査は必須ではありませんが、社会全体で検査を行い、症状が出る前に治療開始する事を前提に行われています。

Q

自宅分娩をするつもりですが、新生児マス・スクリーニングは受けられますか?

A

新生児マススクリーニングは産科医療機関と検査施設が連携して検査を行うシステムとなっています。自宅分娩をする場合には、どこで検査を受けることができるかを、予め助産師などにご確認ください。

Q

新生児マス・スクリーニングは受けたほうが良いのですか?

A

症状が現れる前から病気を発見し、特殊ミルクやビタミン剤、食事制限などを行うことで、生命の危機を回避したり、体調不良や知的な遅れを予防したり軽減することができます。また発病した場合にも、あらかじめ病気がわかっていることで、適切な治療を迅速に受けることができます。

Q

なぜ採血料を払わなければならないのですか?公費で負担してはくれないのですか?

A

血液ろ紙は検査施設に集められて分析され、これにかかる費用(=検査料)が公費負担となります。一方、採血等にかかる費用はそれぞれの採血を行った医療機関に支払われるもので、自己負担が原則となっています。

Q

自分の子どもの検査済みのろ紙血検体は、返してもらえるのですか?

A

他疾患の検査などのために使用したいなど、ご希望があれば返却は可能ですが、スクリーニングを行った自治体にまずはご相談ください。

Q

隣の自治体の方が対象疾患が多いのでそちらで新生児マス・スクリーニングを受けたいのですが、どうすればよいでしょうか?

A

自治体間で対象疾患数が異なる事があります。自治体の窓口にご相談ください。

見つかる病気(先天代謝異常症)などについて

Q

先天代謝異常症という病気は、どのような症状のものですか?

A

先天代謝異常症では、生まれつき酵素等が正常に働かず、代謝の流れがせき止められることで、身体にとって有害なものがたまったり、必要なものが欠乏したりする結果、様々な症状が起こります。

病気によって症状は異なりますが、多くの場合、放っておくと発育不良や知的障がいの原因となるだけでなく、症状が重い場合は亡くなってしまうこともあります。また、エネルギーの代謝や利用がうまくいかず、筋力低下や筋痛が起きたり、低血糖発作時に突然死することがある病気、身体にとって有害なアンモニアの代謝がうまくいかず脳が障害を受ける病気などもあります。なお、同じ病気であっても、重い場合と軽い場合では症状が大きく異なります。

タンデムマス・スクリーニングについて

Q

平成26年度より日本全国にタンデムマス・スクリーニングが導入されたことで、従来の検査と何が変わったのですか?

A

これまで日本の新生児マス・スクリーニング検査は、2つのホルモンの病気(先天性甲状腺機能低下症、先天性副腎過形成症)と、4つの先天代謝異常症(フェニルケトン尿症、メープルシロップ尿症、ホモシスチン尿症、ガラクトース血症)の合わせて6つの病気が対象でした。

平成26年4月よりタンデムマス法という検査方法が全国に導入されたことで、新たに16~22種類※の病気が見つけられるようになりました。

 

※対象となる病気は検査を受ける自治体により違いがあります。

Q

タンデムマス・スクリーニングで発見される病気は、どのようなものがありますか? また、治療しない場合、どういう障がいが出ますか?

A

先天代謝異常症とは、体に必要な栄養素を上手に利用できない生まれつきの病気の総称です。とても多くの種類がありますが、このうちタンデムマス法で見つかるのは、アミノ酸、有機酸、脂肪酸といった栄養素を上手く利用できない病気の一部です。

新生児マス・スクリーニングの対象となっている病気は、知らずに生活していると生命や障がい発症の危険があるものの、早期の治療によってそれを防いだり軽減したりすることが出来るものが対象となっています。しかし残念なことに、対象となっている病気であっても、最も重症な一部のお子さんについては救命が難しい場合もあります。

このサイト内の『タンデムマス・スクリーニングで見つかる病気』をご覧下さい。また、このサイトからガイドブック『タンデムマスQ&A2012』『有機酸・脂肪酸代謝異常症って何?(一般向けガイドブック)』もダウンロードできますので、合わせてご参照ください。

Q

疾患が見つかる頻度はどれほどですか(どれくらいの割合で病気の赤ちゃんが見つかるのですか?)

A

アミノ酸、有機酸、脂肪酸代謝異常症のうち、それぞれの病気によっても違いがありますが、多くの病気がおよそ数万人~数十万人に1人の割合で診断されています。すべての種類の病気を合わせると検査をうけた赤ちゃんのうち約9000人に1人の割合でなんらかの病気が見つかることになります。

Q

里帰り出産する予定なのですが、どの病院でも検査を申し込めますか?

A

分娩を行っている全ての産科施設(助産所を含みます)で検査を申し込むことができます。

検査結果について(再検査や精密検査について)

Q

検査結果はどの様に通知されるのですか?

A

産科医療機関で行われた新生児マスクリーニングの結果は、通常1ヶ月健診で説明されるようになっています。もし再検査やすぐに精密検査が必要と判断された場合は、1ヶ月健診を待たずに個別に連絡があります。

Q

再採血(再検査)とは何ですか?

A

新生児マス・スクリーニングでは、疾患のある新生児を見逃さないように、検査結果を 3 つのレベルに分けて判定しています。つまり、① 正常 ② 再検査が必要 ③ 要精密検査(すぐに病院で精密検査を行うのが望ましい) の 3 つです。

再採血とは、スクリーニング対象となる病気かどうかの目安となる検査値が、採血時の哺乳状況などの影響をうけているのではないか、などと考えられるときに行うものです。精密検査と違い、病気が強く疑われるわけではありませんが、ご心配であれば産科医療機関を通じて医師に尋ねてみてください。

Q

要精密検査とは何ですか?

A

要精密検査とは、すぐに病院で精密検査を行うのが望ましい、という意味です。要精密検査となっ た場合でも、病院での検査結果で異常なしと判断される場合も少なくありません。しかし、なるべく 早く詳しい検査を受けた方がよいので、出産された医療機関の指示に従ってください。

精密検査が必要な場合、産科の先生から専門の病院を受診するように、受診日と合わせてご連絡いたします。また保健センターからも受診の勧奨があります。受診の際には、前もって保健センターから「乳児精密健康診査受診票」を受け取った上で、指定された日時に精密検査実施医療機関を受診して下さい。指定日にどうしても都合がつかない場合は、受診日の変更が可能な場合があります。ただし、一般には遅くとも指定日以後3日以内に受診する必要があります。「乳児精密健康診査受診票」により初回受診料について自治体からの補助が受けられます。

Q

検査が陽性で再検査と言われ、とっても心配です。

A

生後4日から6日目採血の検査では、代謝の機能などに未発達な部分があることなどが影響して、検査値がやや高く、またはやや低く出てしまうことがあります。そのような場合、産科医療機関で2回目の採血を受けてください(再検査)。なお、再検査の場合、改めて申込書を記載いただく必要はありませんし、検査料もかかりません。

原則的に今すぐ発症するような病気ではないので、再検査結果が出るまでは健常のお子さんと同じと考えても大丈夫です。万一、熱が出たり、極端に哺乳が悪い場合には、小児科医にご相談下さい。

Q

未熟児なので再検査が必要だと言われたのですが。

A

出生時体重が2,000gに満たない赤ちゃんでは、生後4~6日目の検査で全項目が正常であっても、もう少し後になって検査の対象となっている物質の濃度が変わってくる場合があります。そこで、体重が2,500gに達したときか、生後1カ月か、もしくは退院する時のいずれか早い時期に合わせて、もう一度検査を受けることをお勧めしています。

Q

「特殊検査」「確定診断」とは、何ですか? 

A

タンデムマス・スクリーニングで、陽性反応が出た場合に、確定診断をするために特殊検査を行います。
特殊検査は、例えば遺伝子の検査など、一般的に行われないような検査を指します。一部の施設でしか検査を提供していない事が多く、詳しくは主治医の先生とご相談ください。

Q

ある病気についての検査値が陽性と言われ、精密検査を受けました。スクリーニングの検査値と病院での検査値が大きく違います。なぜでしょうか?

A

病気によっては、採血のタイミングによって検査値が変化することがあります。検査方法で血液ろ紙を検査するのか、血清(血液の中の一成分)を検査するのか、また分析機器が異なる場合でも値が変わってきます。ご心配であれば担当医に検査値の違いについて聞いてみてください。

Q

病気と確定診断されましたが、本人はすごく元気なんです。本当に病気なんですか?

A

非発作時は原則的に無症状の病気も多いです。しかし、風邪などを契機に急激かつ重篤な症状が出現することがあるので、体調不良時は早めにかかりつけの医療機関を受診しましょう。

治療について

Q

先天代謝異常症は、どのように治療されるのですか?

A

病名が確定した場合、速やかにその病気にあわせた治療を行います。治療については、主治医の先生から先天代謝異常症を専門とする先生への相談窓口も整備されています。先天代謝異常症は、小児慢性特定疾患治療研究事業により自治体から医療費の助成が受けられます。具体的な治療法としては、たとえばアミノ酸代謝異常症や有機酸代謝異常症では代謝のできないアミノ酸が少ししか含まれない特殊なミルクや食品による食事療法を行ったりします。また、病気によっては、食事のタンパク質を抑制して有害物質の蓄積を抑えたり、カルニチンという薬で治療したり、低血糖にならないように哺乳や食事の間隔に注意し、エネルギー源を補充したり、有害なアンモニアを解毒する薬を投与したりして治療します。ただし、とても重症なお子さんの場合、十分な治療の効果が得られない場合もあります。

治療法は、同じ病名でも各自の重症度等により異なります。参考として『有機酸・脂肪酸代謝異常症って何?(一般向けガイドブック)』もご参照ください。

その他

Q

外国で生まれた子です。日本で新生児マス・スクリーニングを受けていないので心配です。どうしたらよいのでしょうか?

A

日本国内で出生されたかたは公費でスクリーニングを受けることができますが、外国で生まれた場合はこの対象になりません。しかし、ご希望に応じて自費での検査を受けることは可能です。この場合、受診する病院からスクリーニング検査機関に連絡をとった上で検査を受けることになりますので、かかりつけの病院にご相談ください。

Q

外国で検査している疾患を検査して欲しいのですが、どこで検査してもらえますか?

A

海外のみで検査されている新生児マス・スクリーニングにはG6PD欠損症や囊胞性線維症(cystic fibrosis)などがありますが、日本での頻度は稀であり、検査機関は限られています。家族に患者さんがおられる場合などは、大学病院の小児科などでご相談ください。

Q

子どもの生まれた産科施設では、違う種類の病気のマス・スクリーニングも行っています。受けた方が良いのでしょうか?

A

平成26年4月現在、一部の地域(あるいは病院)では試験的に他の病気についての新生児マス・スクリーニング検査を行っているところもあります。医師の説明や説明書を十分にご検討のうえ決めてください。

Q

上の子がタンデムマス・スクリーニングを受けているかよくわかりません。受けていない場合は、受け直すことが可能ですか?

A

通常、新生児マス・スクリーニングの結果票は母子手帳に貼り付けますので、ここでどの病気の検査をしたのか確認することができます。よくわからない場合は出産された産院や行政の母子保健窓口などでも確認することも出来ます。タンデムマス検査を受けていないということで検査を再度希望される場合は、自費により受検も可能です。かかりつけの小児科や病院などにご相談ください。

Q

特殊ミルクを飲まないとどうなりますか?

A

病気によって治療ミルクの必要度が異なりますが、一般的にカロリーや必要な栄養素などを満たしながら治療ミルクなしで生活する事は非常に難しく、結果として病気のコントロールが出来ずに発作を繰り返したり、発達に影響が出たりする事が多くなります。一部の病気では、時期によっては治療ミルクが必要なくなる事もあります。詳細については主治医と相談してみてください。

Q

特殊ミルクは、何処で入手できますか?

A

原則として、主治医の先生から提供されます。現在は、無料で提供されています。フェニルケトン尿症、メープルシロップ尿症患者さん用のミルクは保険適用があり、薬価が定められています。

Q

患者会、親の会などはありますか?

A

現在私たちが把握している患者会、親の会は、このサイト中にリンクがあります。これからもリンクは随時更新していく予定です。